【プログラムレポート02】
LC#02 「デザイン情報特別講義Ⅰ・Ⅲ」共同講座
講師:西田司(オンデザインパートナーズ)
日時:2017年5月12日(金)14時30分〜16時00分
場所:宮城大学 大和キャンパス グループ演習室

 今回の講座では、株式会社オンデザインパートナーズ代表の建築家・西田司氏をお招きし「建築をひらく(ondesign)」ということについて、様々なプロジェクトを交えレクチャーしていただいた。西田氏は国内を代表する建築家であり、宮城県石巻市のまちづくり団体「ISHINOMAKI 2.0」のメンバーとしても活動し、全国のまちづくりプロジェクトを数多く手がけている。
まずはじめに「オンデザイン(ondesign)」とは、“多様な個”がつくりあげるひとつの集合体である。“多様な個”には、ひとつの建築が出来上がる過程で関わるたくさんの人々が含まれている。オンデザインはプロジェクトに関わる人々の価値観を最大化することを行っている。その方法がヒアリングと対話である。コミュニケーション、対話、ヒアリングによって対話的な建築が生まれるという。多様な個が集合して全体をつくりあげることで新しい価値観を柔軟に取り入れ変化を許容するのだ。
では「建築をひらく」とはどのようなことであるのか。共有広場を持つアパートメントであるヨコハマアパートメントのお話をしていただいた。このアパートは専有する面積を提供しあい共有広場を1階に設けている。共有スペースを持つアパートメントには住人の居場所の選択性が生まれ、価値を持ちあうことができる。これはただ場を共有するだけではなく、価値を持ちより影響しあうことができる。 “多様な個”というように、身近なスケールから人々のライフスタイルを捉えることで、場と場が積極的につながりひらけた建築になるのだ。
このように建築はただ建てるだけではなく、住む人の新しいライフスタイルを呼び起こすようにすることができる。ミラノサローネで発表したMINIのインスタレーション・ブースは、”Do Disturb(干渉し合う)”をキーワードに都市の生活を豊かにする新しいシェアのかたちを提案している。この空間はまさに外に向かって開く、家の中だけで完結せず外で様々な出会いや発見が生まれ影響し合うつくりになっている。壁と一体となったシェルフにライフスタイルを詰め込み、外空間に向かって開くと居住空間で混ざり合う仕掛けになるのだ。共有するというと、自分のもの、専有できるものが減ると考えることもできるが、ゼロをプラスにするような豊かな空間の使い方を共有によって考えることができる。このように建築を通して、様々なライフスタイルが集合し、わたしたちの暮らしを育むことができるということを強く感じた。
事業構想学部デザイン情報学科4年
藤田まどか

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