1年後の「A Book for Our Furture, 311」ワークショップ、ナガシズ スケープの様子。

東日本大震災発災後の2011年6月4日(土)、宮城大学中田研究室のメンバーは南三陸町戸倉長清水のながしず荘を避難所として過ごされていた地域の皆さんに向けて「A Book for Our Furture, 311」というワークショップ形式での活動を行いました。
宮城大学からの参加者一人一人がスケッチブックをたずさえ、まだ瓦礫の残る被災地に入り、避難されている皆さんの未来を描くというものでした。
その日は、鳴子温泉の避難所で生活をされていた多くの方もたくさん戻ってこられ、私たちの示すアイデアに多くのご意見をいただきました。
その日から1年が経ち、スケッチの中から幾つかのアイデアを実現させることができ、私たちの活動もさらに輪を拡げることになりました。
そして。2012年6月2日(土)。最初の「A Book for Our Furture, 311ワークショップ開催から1年の節目に、再度現地を訪ねてのワークショップを開催しました。
今回のワークショップでは、建築家青木淳さんとともに集落再生プランを考えた「TAKADAI プロジェクト」や浸水域の今後の活用を考え、中田研究室で案を重ねてきた「平地プロジェクト」などに加え、UIA東京大会2011でプロモーションをした「ながしずてぬぐい」の成果や日建設計ボランティアチームと共に考えた「逃げ地図」プロジェクト、さらにはライカ ジオシステムズさんのご協力で行ったLDSP(ライカ デジタル スケーリング プロジェクト)2で実測を行った長清水地域の地形データを活用したマップ制作などの情報を統合するかたちで、地元の皆さんに高台の移転と低地の利用方法についての意見交換の場を設けさせていただくことになりました。
1年という時間を経た事が大きな蓄積となり、その成果を共有するワークショップです。
会場は戸倉地区の自然の家をお借りし、午後1時から提案模型のブラッシュアップをチームごとに実施。途中、地元の方から直接ご意見をいただきながら内容を詰めて行きました。
午後5時からは皆さんへのプレゼンテーションと意見交換会を行いました。
それぞれの提案や発想に対して、とても前向きで気持ちのこもったお話をしてくださいました。
現在、町が進めている防災集団移転促進事業による高台造成、住宅の移転計画がジ徐々に現実的な話題になりつつあり、また町による浸水域の宅地買収の話題もあがってきているという状況で、被災された皆さんはご自身の生まれ育った地域の未来について、様々なことを思い描かなければならない時期にさしかかっています。
今回の提案は、私たちがやりたい事ではなく、地域の人がもろもろの思考を巡らすための素材として、とり上げていただくことができればという気持ちで考えさせていただきました。
そうしたお手伝いは、デザインを学び、研究を重ね、実践に結びつけることのできる私たち「A Book for Our Furture, 311」のチームだからこそできる事だと思っています。
地域の高所移転計画をご担当のコンサルタント会社の方も出席され、意見交換にも積極的にご参加いただきました。これは大変重要なことだと思います。
会は大盛会で、意見交換会はまだまだ続きそう、という雰囲気でした。
この貴重な機会をいただいたことで、これからもお力添えできることを積極的にして行きたいと、気持ちを新たに向きあっていきたいと思います。

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