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テーマの設定
私たちは「ものへのいのり」に着目しました。
人間の形を模していることが多く、姿のわからない神という存在への
崇拝、信仰、いのりを捧げる行為を、
なぜものに対し行なっていたのか、興味を持ったからです。
ものと人のかかわりの歴史を見たとき、
神格化の背景にはそのものへの感謝があることがわかりました 。
周りを見渡すと、いのりのかたちは
私たちの身近なところに潜んでいるのかもしれません。
それぞれにとってのいのりのかたち、いのりの存在について
考えるきっかけになったらと思います。
ものにいのりをたくす – 神格化 –
神格化とは、自然物や現象、生物など、具体的な事物を神とみなすことを指します。
日本では八百万の神々という考え方があるように、この世のすべてのものには神が宿るという意識が持たれています。狼のように畑を荒らす動物を追い払う動物や、鯨のように人々に恵みをもたらす生き物もまた、山や海といった自然の神々の使いや、その変化した姿として信仰の対象となることがありました。
人は様々なものから恩恵や利益を得ており、それに対する感謝や追悼の気持ちを、建築物や行事で形に表かたちにしてきました。
いのりとは、このように人が物に対して抱いてきた心が転じたものと言えるのではないしょうか。