人は古代から壁画や土器に文様を用いてきた。その歴史が古いのは縄文土器に描かれた縄文様を見れば明らかであろう。また紀元前2000年のメソポタミア文明では現在に通ずる様々な文様がすでに使用されていたことがわかっている。こうした文様は風土や文化を反映しながら変化し、宗教や経済の流通とともに世界各地に広がりながら混じり合っていく。
文様は幾何学文と動植物文に大きく大別されるが、それらのルーツをたどっていくと自然が持つ力を文様によって生活の中に取り入れたい、吉祥的な意味合いを持つものが多い。そのため描かれるモチーフには繁栄や多産、永遠の繋がりといった生命力を讃えるイメージが多くみられ、人間が自然に向けていた眼差しそのものがビジュアル化したものと考えることができるだろう。