2012年8月28日、イタリア、ベネチアにて第54回ベネチア•ビエンナーレが開幕しました。
今年の日本館は伊東豊雄さんがコミッショナー、藤本壮介さん、平田晃久さん、乾久美子さんが建築家として参加。
陸前高田((岩手県)で建設中の「みんなの家」をモチーフに「Architecture Possible Here ? : ここに建築は可能か?」を主題とし、ジャルディーニ会場の日本館で展示されました。杉丸太を持ち込み、模型と写真を展示する内容で、写真家の畠山直哉さんによる、陸前高田のパノラマ写真が展示室内を囲っていました。
この展示で使われた杉丸太は、去る5月19日、中田研究室ゼミ生が参加して陸前高田に出かけて皮剥きをしてきたものです。
杉丸太皮剥きの様子

陸前高田の「みんなの家」の模型展示

陸前高田での杉丸太皮剥きの様子がビデオ展示されていました。背景は畠山直哉さんによるパノラマ写真。

そして29日の午前(現地時間)ベネチア ビエンナーレにおける各賞の発表が行われ、日本館は最高賞である金獅子賞を受賞しました。
同日午後のシンポジウムでは、受賞の報告が行われました。
震災という大きな傷を負いながらも、建築の世界でこうした活動が評価されたことを関係者一同、大変嬉しく思います。
また、宮城大学の学生がこのような活動のお手伝いをできたことを大変誇らしく、光栄に思います。

受賞を喜ぶ出展者達(シンポジウム会場のスクリーンに映された写真)

この陸前高田での「みんなの家」プロジェクトとは、中田研究室が取り組んでいるプロジェクト「A Book for Our Future, 311」と深い関わりがあります。
東日本大震災の発災以来、研究室が進めてきた宮城県南三陸町戸倉長清水地域での復興支援である「A Book for Our Future, 311」は、「ながしずてぬぐい」の制作や「TAKADAI + HIRACHI Project」(青木淳さんらとの恊働)の提案、ライカ ジオシステムズとの共同研究「LDSP :ライカ デジタル スケーリング プロジェクト」「逃げ地図」(日建設計ボランティアチームと恊働)「ゲンスラー小屋 改め 長清水番小屋プロジェクト」(Gensler + 株式会社シェルターによるご支援)など、多岐、多様な展開をしてきました。またローズファンドによるご支援もいただき、プロジェクトを進めさせていただいております。
その中で、長清水地域の漁業再生振興を目指し、地域の皆さんとともに建設を行った「長清水番小屋プロジェクト」では、その基本構造である木造架構をシェルター株式会社(山形県)の社長、木村一義様のご厚意によりご提供いただきました。
そして、このシェルター株式会社が陸前高田での「みんなの家」の施工を担当されているということ、また伊東豊雄さんはじめ、設計を担当された建築家の皆さんとアーキエイドの活動等を通じて復興支援に共に取り組んできたという経緯もあり、研究室ではゼミ生の参加も含め積極的に関わらせていただきました。さらには、被災した地域で建築を学ぶ学生達によって使用する杉の丸太を皮剥きをすることで、このプロジェクトをより意義深いものにしていきたいという関係者の方々の意向もあったことから、今回、研究室のメンバーが参加させていただくという機会をいただきました。
そのような意味でも日本館の展示が金獅子賞受賞という世界的な素晴らしい評価をいただいたことは、地域で実直に努力を重ねている多くの人たちにとって、素晴らしい出来事だったと思います。
これからも引き続き頑張って行きたいと思います。

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