レイアウトサンプル

[情報量などはもっと必要かと思います]

誰しも、自分だけの記憶を
人知れず忘れながら生きている。

昨日の夕焼け、見かけた猫。
舌を噛んだこと。
変わりばえのしない薄曇りの日々。

それは、すべてが二度と巡り合えない、
珍妙な奇跡の連続。

さあ、高らかに奏でよう、平日への惜しみない賛歌を。
輝ける毎日への喝采とともに。

三億パターンの光景

この作品はビジュアルとテキストがランダムかつ自動的に構成され続けるリアルタイム3DCG映像作品です。スクリーンセーバのように次々と不思議な光景を生成し、「日常」と「非日常」を行き来することで物語を綴っていきます。

光景の組み合わせ数は約三億パターン。おそらく、一度見たシーンを、再び見ることはできないでしょう。デジタルという複製芸術を生み出す装置で、人生で一度しか見ることとのできない、儚い一回性を作り出すことを目指しました。

メタファーの集合体

舞台は傍観や義務といった心情として、小道具は危険や消費などの記号のメタファーとして選定しています。乱数によって構成される情景は無秩序になりすぎる傾向がありますが、要素の選定によって柔らかな秩序を生み出すことを狙っています。

「映像編集」ではなく「映像開発」

開発ツールはUnreal Engine。日進月歩のゲームエンジンを映像制作に初めて活用しました。開発は難航を極めましたが、3DCGとアルゴリズムから作り出される新しい映像のあり方が見出せたように思います。

研究としての作品を作ること

平日ダイヤは修士一年の研究成果として作成しました。研究では三つの目的を掲げてリサーチと開発を進めてきました。初期衝動のままに完成させるのではなく、先行研究や考察と改良を重ねてバージョン1.0を作り終えました。

  1. リアルタイム映像技術の即興性を活用し、物語を自動生成し続けられないか
  2. 一回性の高い映像だからこそ可能となる物語はあるか?
  3. 新しいテクノロジーを中心とした映像制作プロセスの確立

研究成果をまとめると、改めて様々な発見と課題が蓄積されました。真剣に自分自身や作品作りに向き合うことも、もしかすると人生で初めてかもしれません。そしてまだまだ挑戦しなければならないことが沢山あることにも気づかされました。この作品制作を通して、新たな表現の方向性が見出せたと考えています。

編集後記

研究プロセスに二つの目標を掲げた。一つ目は現在のCG表現において最新である「リアルタイム技術」を採用すること。二つ目はこれまで苦手としてきた人物や物語などの表現領域に挑戦することである。

この二つの目標は、これまでの業務の中でも無意識的に避けてきたため、ほぼ未知の領域であった。そのため、技術開拓には想定以上の時間を要することになった事が反省点である。しかし、一年目の研究のほぼ半数の時間をこの技術リサーチに充てることで、自分が表現したい企画を立案することができ、映像として実現することが可能となったともいえる。

こうした技術確立のためのリサーチを続ける中で、必然的に興味関心は「繰り返し」「偶然性」「物語」の三つの言葉に集約されていった。なぜならば、リアルタイム映像表現を追求することは、これまで映像がもたらしてきた「固定化された文脈」への問いであるからである。

そしてそれはいずれ「映像とは何か?」という問いにも繋がっていくだろう。こうした模索の中で、研究テーマを「繰り返しと偶然性が可能にする物語」と設定。自分にとって未知なる映像の在り方を探る一年となった。

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