山。それは自然の象徴であり、生命が生まれる場所です。そして同時に、現在私たち人間に奪われているものでもあります。
この生命を生み、守り、奪うという循環は、刀の持つ、命を守り、奪うあり方と似通っていると考えました。また、刀の原料である玉鋼、さらにその元となる鉄は山を採掘して得たものです。山の後ろに佇むように刀を配置しているのはそのためです。
この展示は、いのちのあり方を「山を壊す」という体験を通して、何かしら感じ、考えてもらうことを目的としています。
山は実際の土や苔を用いて作られており、スコップを使用し、山を崩してもらいます。山の中には玉鋼を模した石が埋め込まれています。それらを探し、それを水で洗ってもらうことで、自らの手で自然を壊し、命を守り、奪いもする刀の原料を得るという体験を擬似的に体験できます。